日々想々彼是落書致候


by fly_bird_man
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10年ぶりの再会 朱雀から森へ

 先週の日曜日、家でDVDを観る。
 
 「萌の朱雀」 監督:河瀬直美(1997年作品。カンヌ映画祭「新人監督賞」受賞)
  
 ちょうど10年前に劇場公開されたときに一人で映画館で観てからというもの、強く印象に残ってそのままだった作品。記憶の中からは詳細な映画のストーリーはすっぽりと抜け落ちていて、この映画が映し出す風景や場面の匂いのようなものだけがずうっと頭の片隅に焼き付けられていた。森の木々や草いきれの匂い、山間の古い民家の土壁の匂い、冷たいトンネルの匂い。。。

 その後また観たくて、時々レンタルショップへ行く度に探していたのだが、地味な作品のためか目にする機会はずっとなかった。それが先日ふと、「萌の朱雀」という白と朱の文字で縦に書かれたDVDケースの背表紙が店の棚に鎮座しているのを見つけた。そういえば、監督の河瀬氏は「朱雀の門」から10年後の今年再び、『新作「殯の森(もがりのもり)」でカンヌのグランプリに輝いた。』という記事を何かで読んだのを思い出す。多分そういうことで、今まで表に出されることのなかったものが、わざわざ客の目に留まりやすいような場所にに置かれたのだろう。

 レンタルしてきて、家で子供らが後ろでどたばたする中でノートパソコンの液晶画面から10年ぶりに再会した物語は、あの時と同じように風や雨の音がざわめく静かな日常の風景のようで、しかし、あの時に埋もれかけた記憶の断片を繋ぎ合わせ呼び覚ますかのように劇的だった。

 「萌の朱雀」に関連する事柄を調べていて少し驚いたことがある。
 一つは、原作が監督自身の手により小説化されていて、その本の表紙は弘前生まれの作家・奈良美智が手がけている。ということ。
 もう一つが、舞台・撮影場所となった奈良県西吉野村でスカウトされスクリーン・デビューした女優・尾野真千子さんが、後に「リアリズムの宿」(2003年作品。原作:つげ義春。監督:山下敦弘)に出演していたということ。
 映画自体は未見だが、この作品で音楽・主題歌を手がけていたのが、ロックバンドくるり。

 …荒れた唇隠して 君は家出娘
   家出娘byくるり から  「リアリズムの宿」主題歌


 さて、先述した「殯の森」がたまたま県内の八戸フォーラムでちょうど今週上映中だったので、さっそく週始めの月曜日に仕事が終わってから夕方に、夜のレイトショーに間に合わせるために八戸まで片道2時間半の道のりを車を飛ばした。
 「殯の森」の主演は「萌の朱雀」でも主演してたまさにその尾野真千子さん。「萌の朱雀」のときはまだ奈良の山間の村の可憐な一女子中高生だった彼女にもやはり10年の月日が流れていて、スクリーンの向こうには幼い子供を失った母親、ヌードシーンも立派にこなす大人の女性がいた。
 そしてなにより、10年前のあの時と同じ懐かしい匂いを確かに、この映画の中にも感じることが出来た。そのことが嬉しかった。
by fly_bird_man | 2007-11-27 22:32 | raku gaki