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日々想々彼是落書致候


by fly_bird_man
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自然を見る ~ 自然エネルギーの利用にあたって~

 福島原発の重大事故を受けて、原子力発電所と放射能汚染の危険性に改めて多くの人々が目を向けざるを得ない状況が生まれている。
 その一方で、太陽光・風力を初めとする自然エネルギーを原発に替わって利用するべきだという声も大きくなっている。

 テレビでは、2050年までには日本の発電エネルギーを全て自然エネルギーで賄うことは可能だとプレゼンする専門家も出始め、ソフトバンクの孫社長は率先して太陽光発電所を作ろうと事業計画を発表した。
 CO2による地球温暖化や、資源枯渇・依存の問題を考えると、現在主力であるLNG・石油・石炭を使った火力発電所を増設しようということに躊躇する意見が多いことも理解できる。
 自然エネルギーと言えば、「環境にやさしい」イメージが先行しているようだが、本当にそうだろうか。日本で自然エネルギーによって発電量全てを賄う近未来は、本当に可能なのだろうか。ちょっと考えてみたい。

 太陽光・風力の活用例としてよく取り上げられるのがスペイン
 面積は50万平方km、人口は4500万人。人口密度は90人/平方kmで日本のおよそ1/4。大地は平野部が多く気候は地中海気候である。冬は一定の降雨があるが夏は日差しが強く乾燥し、東部地方を除き偏西風が吹く。
 太陽光+風力の利用に適した自然条件を持っているということがわかる。

 方や日本はどうだろうか
 山岳部が多く、海岸線も含めた狭い平野に人々が暮らし、田畑が敷き詰められている。海洋性気候で季節風の影響が強く、湿潤で四季がはっきりしている。
 太陽光と風力の活用にはあまり向かない自然条件であることが推測できる。

 このような場所に、スペインのような自然エネルギーの活用をそのまま当てはめたら、一体どうなるのだろうか。
 海岸線はずらっと風車によって埋められ、農地を切り開いて平野には太陽光パネルが敷き詰められる。しかし、大型風車は風向きが変わることに一台一台簡単には対応できるのだろうか。太陽光パネルも日照時間が限られ発電時間を十分に確保出来ないのではないか。結果として必要な電力を生み出すことは難しいのではないだろうか。
 それに、敷き詰めた太陽光パネルの下は太陽光が届かない日陰となるため土壌は死ぬ。これはアスファルトを敷き詰めたのと同じことである。風車をメガフロートという巨大筏に載せより安定した強い風の吹く海上に浮かべるという案もある。これも太陽光パネルを敷き詰めるのと同じ原理で、太陽光の届かない海面下が受ける影響を考えないといけない。
 果たして、そこまでして風力・太陽光の利用を拡げることが、「自然に優しい」と言えるのだろうか。「自然に優しい」皮を被った自然破壊となるのではないだろうか。


 仮に原発を全て停めてしまって、どうしても今すぐ代替エネルギーが必要ということであれば、最も実績のある物からまず手をつけるのが常道だろう。燃料調達の問題はあるが、ガスコンパインドサイクル発電など高効率な最新の火力が当面の代替案としては最も現実的だろう。
 現在継続中の福島原発の事故についても、その原因や散々警告されながらついに重大事故にまで至ってしまった背景についてきちんと分析することが必要だ。作ってしまった使用済み核燃料や放射性廃棄物の山は目の前に積まれている。放射能汚染はもっと深刻だ。
 この重大な事実と向きあう科学の目は今まで以上に必要とされるだろう。安易な原発利用も許されないが、原子力・放射能の研究を止めることも許されない。

 その上で、将来のエネルギー政策については、もっと広い見地から議論を深めていく必要があるように思う。
 太陽光・風力も、火力、原子力も、元は全て自然のものを人間が利用している点では、「自然エネルギー」と言える。まずは、自然をよくよく観察することから始めよう。
by fly_bird_man | 2011-05-22 10:14 | raku gaki